対魔忍RPG 「不死の兵士」 制作雑感

『不死の兵士』はアイナ・ウィンチェスターが主役となり、対魔忍の仲森奈々華と共闘するイベントだ。

アイナは『早く来い来いお正月』のときにウェディングドレス姿でちょっと出てもらったが、イベントの主役として書くのは初めてだ。決戦アリーナも含めてエロシーンは一つも担当していない。もう一人の奈々華はそれこそ何も書いたことがない。

せっかくなので、今回はこの二人をしっかり描写しようと、今までよくやったように既存のキャラが色々と出てくるのではなく、基本的に二人だけで話が進んでいく構成にした。

 

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また今回はアイナの武器パワーアップ回でもあった。

新しい武器に新しい必殺技。当然それをクライマックスで使いたいところだ。

昔のロボットアニメとかではこの手のパワーアップ話がよくあった。

たいてい番組が始まってすぐピンチになって一時撤退。それを見て視聴者は「今回はパワーアップ話だな」と分かるわけだ。

で、武器を開発したり、訓練をしたり、ふとしたきっかけで閃いたりと、なんやかんやあってパワーアップし、それでリベンジするという流れになる。

毎度毎度、例えが古くて申し訳ないが、『超電磁ロボ コン・バトラーV』で、主題歌でも言っている超電磁ヨーヨーが出てくる話がそうだったはずだ。

 

今回もそれでいこうかと思ったのだが、このアイナというキャラクター、始まってすぐピンチになるための普通の服がない。

持っている服はウェディングドレスと水着とサンタ服だけだ。

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パワーアップ用の新デザインなのに、アイナにとっては初めての普通の服という、ちょっと変わった実装ラインナップになっている。

そこで冒頭からこの新デザインで登場してもらって、肝心のパワーアップ武器はまだ使えないという話を、始まってすぐの訓練シーンの回想でやることにした。

訓練ではうまくいかないが、実戦では成功というのも山ほどあるパターンだ。

少しだけ例えが新しくなって、『勇者王ガオガイガー』で、氷竜と炎竜が初めて超竜神にシンメトリカルドッキングする回がそうだった。確かアバンタイトルで失敗していた記憶がある。

 

単に回想で訓練をやっても面白くないので、前にアイナが出てきたイベント『あぶないサマービーチ』の出来事に基づいた戦闘シミュレーションということにして、新しい武器の説明をしながら、リリムムオー改をまた出したりしている。半分はお遊びだがエピローグでの女子トークのための前ふりでもある。

ちょうど復刻イベント『リリムミーティア』で初代リリムムオーが出ているので、新旧ロボそろい踏みのようなことになっていてちょっとおかしい。

 

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新兵器の『タイプゼロ』は、イベント作成時にはまだデザインが決まっていなかったのだが、とりあえず名前がなかったのでシナリオのときに命名した。

タイプゼロといえば『機動警察パトレイバー』の零式。それと同じく魔族の目を使うアイナにも暴走しかねない危うい存在というイメージがあった。

その流れで、フルバーストが使えないのは、アイナがその魔族の目を恐れているからということにした。

今まで、目の力を使うと血を吸われて貧血になるという設定はあったものの、魔族の力への恐れ云々といった話は全く出てきていないのだが、異形をその身に宿して戦うヒーローには必須不可欠だろうと入れさせてもらった。

そのうち「力が欲しいか?」とか語りかけてきたり、その力が全身に広がって魔族モードになったりするかもしれない。

 

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奈々華はイベントでは初めての登場だ。

前にも書いたことがあるが、キャラを初登場させるときは一番そのキャラらしさを発揮できる場面で出すのが手っ取り早い。消防士なら火事場だ。

奈々華は不死覚醒の紫ほどではないが、耐久力と回復力に優れているキャラだ。

というわけで、ちょっとかわいそうだが、その能力を見せやすいように、いきなり捕まっていてカプセルの中にいる場面からの登場となった。ある意味、対魔忍らしいとは言える。

そして装置を切った途端、中から素手でカプセルをぶち破り、その直後に現れる敵を防御無視で粉砕する展開になる。

 

本当はカプセルの中にエッチな格好で浮かんでいて、色んなところに正体不明のコードとかが繋がっていて欲しかったのだが、見せる絵もないのに文章だけそう書くのも悲しいのでやめておいた。

とか思っていたら、作画の西條サトル氏がこんな素晴らしい絵をアップしてくれた。ありがとうございます。

じゃあ、こういうことで。

 

アイナと奈々華はにわかコンビだが、魔物ハンターの経験を生かしてテクニカルな戦い方をする遠距離攻撃主体のアイナと、猪突猛進気味だが接近戦では絶大な攻撃力を発揮する奈々華はなかなか相性がいい。

二人がかりで出てくる敵をポンポンと倒してもらって、ボスからレアエネミーに格落ちしたXPS-11Aボーンもすでに旧式で弱点を知っているということで、アイナが動きを止め、奈々華がとどめをさす連係で速攻撃破している。

ただ、アイナの新必殺のゼロレンジフルバーストはその名の通り超至近距離からの攻撃だ。

そのお披露目としては、接近戦のスペシャリストの奈々華が失敗してからの方が映えるので、またかわいそうだが奈々華にはラスボス戦の途中で気絶してもらった。ごめん。

 

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そのラスボスはマッドサイエンティスト軍人のヴィクター大佐だ。

元ネタは、『不死の兵士』というサブタイトルで分かる人もいるだろうが、『フランケンシュタイン』のヴィクター・フランケンシュタインだ。元々は怪物の名前ではなく、それを作り出した博士(ではなく原作小説ではただの大学生)の名前だ。

老いさらばえた兵士がかつての力を求めて人体実験云々というのは、さっきの「力が欲しいか?」の『ARMS』に出てきた元軍人の爺さんたちと同じだ。主婦にやられた情けない連中だ。その爺さんたちと同じように、ヴィクター大佐もやはり使い捨てにされている。

 

ヴィクター大佐はアイナと奈々華の二人がかりの攻撃にも耐える強者だが、悲しいかな中身はただのボケ老人だ。

それだけだとあんまりなので、ボケる前に彼が不死の兵士などという狂気に走った理由らしきものを、死ぬ間際にちょっとだけ言わせている。

悪人にもそれなりの理由があったというのは、キャラクターに深みを与える上で重要なのだが、それをあんまりやると「そういう相手を倒すのってどうなの? 」という面倒くさい問題が生じ、下手をすると主人公と敵の不幸な過去くらべになっていきかねないので難しいところだ。

今回はヴィクター大佐が勝手に喋っているだけだし、彼がそう思っているだけで、そんな過去が本当にあったのかどうかも分からないのだが。

 

ところで、ヴィクター大佐の属性は超人で、色々やっているが人間だ。

魔物ハンターをやっているアイナからすれば異色の相手だろう。

そうなった理由は単純で、超人属性のラスボスにするというのがストーリーの要件だったからだ。

そういう話にするのはいいとして、両親を殺した魔族を追いかけているアイナからすると、どんな悪であれ、魔族ではないただの超人というのは敵として少し絡ませにくい。

ふうま君の場合は、今日は魔族の討伐で、明日は着ぐるみの中の人、こちら対魔忍の何でも屋、ふうまゼネラルカンパニーみたいなことになっているが、アイナは初めての主役なので、もう少し強い動機付けが欲しいところだ。

 

そこで、アイナは孤児院の出身であり子供好きのお姉さんという、今までのアイナシナリオで何度となく描写されていた設定を使わせてもらった。

自分と同じ孤児が拐われて人体実験に使われていると知ったら、それは任務と関係なく飛び出すだろうし、相手が人間だろうがなんだろうが、怒りの炎が燃え上がるに決まっている。

それでプッツンすれば、心にセーブがかかっていてそれまで使えなかった新必殺技も「俺のこの目が光って唸る!」と大炸裂するというものだ。さすがにそのセリフはやめておいたが。

  

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エピローグは、アイナをこっそり助けていたアスカが現れて、諸々の事情の説明と、ふうま君をネタにした女子トークとなる。

別にここでアスカを出さないでも話を作ることはできたのだが、キャラ同士の繋がりをもう少し作っておきたかったからだ。

イベントの数も増えて、ふうま君もあっちこっちに知り合いができているので、当人がいないところで知り合い同士が顔合わせするこんなシチュエーションもやれるのが楽しい。

バレンタインのお返し話については、『やっぱり対魔忍のバレンタインは厳しい 』のときのアスカがちょい役で、ラストの「義理」のフォローもなかったので、せっかくだからと入れてみた。

もう一回くらいかけて、この本筋に全く関わりない話にもけりをつけてあげたいところだ。

 

では今回はこのへんで。