エロ表現のポイントはオノマトペにあり

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お二人に便乗して、もう一冊紹介。


官能小説用語表現辞典 (ちくま文庫)官能小説用語表現辞典 (ちくま文庫)
永田 守弘

筑摩書房 2006-10
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筆者の永田守弘氏は、毎月30編以上の官能小説を読みこなし、新聞、雑誌などに新刊の官能小説を紹介するこの分野の第一人者だ。(著者紹介より)


その氏が、官能小説663冊の中から、
 ・女性器(陰部、クリトリス、陰唇、膣)
 ・男性器(ペニス、陰嚢、精液)
 ・声
 ・オノマトペ
 ・絶頂表現
といった項目毎に言葉をピックアップし、官能小説での実際の用例をあげつつ説明しているのが本書だ。


一番多いのは、女性器の項目。
そこが一番大事とばかりに、それだけで全体の2/3以上を占めているのは圧巻だ。
男にとって「あそこ」への執着は果てしがないといったところか。


一方、オノマトペの項目は僅か数ページ。
だが、あえてその項目を設けたところに、筆者の心意気を感じる。
エロゲ屋としては、そこもエロ表現のポイントという気がするからだ。


オノマトペとは、擬音語や擬態語のこと。
ガチャガチャ、ワーワー、ビチャッ、ビリビリ、ズルズル……といった類のやつだ。
どうも、日本語は他の言語に比べて、この手の言葉が多いらしい。
確かに、なにか食べようとしただけでも、「ホッカホカ」のご飯に、「あつあつ」のお味噌汁、おかずは「ジュージュー」焼いた焼き肉で、付け合わせは「ほっくり」としたジャガイモとニンジン、それから「キンキン」に冷やしたビールも……などと、ほとんど際限なくオノマトペが出てくる。


食事同様、日本語でエロいことをするときも同じだ。
しかも、使うオノマトペによって、やっているその行為、エロさの雰囲気がぐっと違ってくる。
例えば、こんな文章―――
  「熱く濡れた蜜壷に人差し指を入れた」
なんてのがあったとする。


ここに、「じゅぷっと」というオノマトペを入れると、さてどうなるか?
 「熱く濡れた蜜壷にじゅぷっと人差し指を入れた」
蜜壷にたっぷりと溜まっていた愛液が、人差し指で外に溢れ出てくる……なんて映像が浮かんでこないだろうか。
「じゅぷっと」から伝わる粘着質なニュアンスのおかげだ。


で、オノマトペだけを変えてみる。
  「熱く濡れた蜜壷に人差し指をぬぷぬぷと入れた」
こうすると、人差し指に触れる蜜壷の感触をじっくりと味わいつつ、女を焦らしているようなニュアンスが生まれるように思う。


こんなのもある。
  「熱く濡れた蜜壷に人差し指をズブリと入れた」
この「ズブリ」は、ナイフを突き刺す時などにも使う。
その連想から、「嫌がりながら感じてしまっている女に容赦なく指をねじ込んでいる」、そんなシーンに似合いそうな表現になる。


また、複数のオノマトペを使うことで、指を入れたそのリアクションではなく、もうちょっと長い時間の行為を書くことも可能だ。
  「熱く濡れた蜜壷に人差し指をぬぷ、くちゅっ、ちゅぷ、ずりゅりゅっと入れた」
人によって受け取り方は様々だろうが、まず「ぬぷ」で指を先っぽだけ入れ、そのまま「くちゅ、ちゅぷ」で軽く掻き回して濡れ具合を楽しみ、それから「ずりゅりゅっ」で指を根本まで一気にねじ込む、そんなシーンをイメージして書いている。


さらに、日本語にはひらがな、カタカナというのもある。
同じオノマトペでも、そこを変えるだけでまたニュアンスが変わる。
例えば、「ぬぷぬぷ」と「ヌプヌプ」
  「熱く濡れた蜜壷に人差し指をぬぷぬぷと入れた」
  「熱く濡れた蜜壷に人差し指をヌプヌプと入れた」
なにが違うと言葉にできなくとも、なにかが違っているのは分かってもらえると思う。
個人的には、「ヌプヌプ」には、より淫靡さを感じる。さらには、愛液のねばつき、熟女の匂い、そんなものも。


とまあ、ただあそこに指を入れるだけとっても、使うオノマトペ一つで色々と違いが出てくるわけだ。
どんな時にどんなオノマトペを使うか。
そのあたりで書き手の趣味が見えてくる気がする。


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