対魔忍RPG 凜子とあずさ 制作雑感


対魔忍RPGのメインクエスト「神眼逸刀流」で秋山凜子と鬼壱あずさの話が決着した。
それに合わせて、【神眼逸刀流】秋山凜子も実装された。
私は幸いにして両方とも手がけることができたので、凜子とあずさの諸々についてまた色々と思い返してみた。


あずさ関連の主だった話は以下の通りだ。
ストーリー30  「陰陽念流の剣士」     2022年6月実装
レイド34    「陰陽師ダイダラボッチ」 2022年11月実装
ストーリー35  「双葉・リリー・ラムセス」 2023年1月実装
58章      「光を与えしもの」     2023年5月実装
62章      「紅き血の秘録」      2023年9月実装
66章      「爆炎と不死の炎」     2024年2月実装
67章      「神眼逸刀流」       2024年3月実装

 

この一連の話については、初登場の「陰陽念流の剣士」から担当している。だがこれは未来次元の別のあずさだ。
現代での登場は「陰陽師ダイダラボッチ」からだ。この頃はあずさがまだ人間で、五行学園の先生としての一面が垣間見えるエピソードなのだが私は担当していない。このラストであずさは機械生命体になってしまう。。
続く「双葉・リリー・ラムセス」でも、まだ先生らしいことをしてくれているが、こちらも私が書いたものではない。
その後は、あずさがもう五行学園を出奔してしまって、機械生命体としての覚醒と凜子との別離を描いた「光を与えしもの」、諸々の背景を描いた「紅き血の秘録」、凜子が玄庵に神眼伝授を望む「爆炎と不死の炎」、そして今回の決着「神眼逸刀流」に至っている。このあたりは全部書いている。
何の因果か楓との過去シーンを除いて、私はあずさの人間らしいエピソードはまるで書いていない。

ともあれ、凛子とあずさとの決着の形はわりと早い段階で考えていた。
その後で凜子の神眼の詳細が決定したり、エルザを登場させることになったりしたが、基本は最初に考えたままだ。
つまり、凜子は幻庵から神眼を伝授され、あずさはダールに誘い出されて仇の一人であるイーヴィー・エースにだけは復讐し、凜子はあずさを追っているスズカを新たな力で退けた後、あずさと一対一の決闘をする。
凜子とあずさはお互いに分かり合えることなく、凜子は剣士として明確に自分の意思であずさの命を断ち、 あずさが僅かに人の心を取り戻すのは最期の一瞬という結末だ。
なんとも哀しい終わり方だが、どんな形にしろあずさが生き残るのは個人的な好みとは違っていたので、当初のイメージ通りに終わることができてほっとしている。
あずさが最期に凜子に言うセリフも同様だ。
復讐が楓の願いではないと後悔はしているが、そのために無関係な人間を殺したことは別に気にしていない。今さらそれが悪いと言い始めたら、ブレインフレーヤーの機械生命体としておかしいだろうと考えていた。

というわけで、あずさの最大のミスはやはりその機械生命体なんかになってしまったことだろう。
おかげで楓さまの仇絶対殺すウーマンへと変貌し、米連の基地を手当たり次第に破壊しまくり、あちこちに目を付けられる羽目になって、凜子と対決するルートが確定してしまった。
実のところ凜子経由でふうま君に会って、これこれこういうわけでダールと死霊卿に復讐したいと相談でもした方がよかっただろう。
ふうま君にとっては死霊卿は目の上のたんこぶだし、彼は合理的かつわりと非情な人なので*1、復讐の是非はとりあえず横に置いて、普通に力を貸してくれるだろう。
ひょっとしたらそのラインで、死んだ楓が別の形で存在している人までたどり着いて、復讐を止めることができかかもしれない。
もっとも、そんな風に正解の行動をとったあずさの話が書きたいかと聞かれれば、あまり書きたくはない。

そんなこんなで、現代のあずさは消滅してしまったが、未来次元には別のあずさが残っているはずだ。この先出るかも不明だが。
最初に述べたとおり、こっちの未来あずさの方が登場が先で、そのエロシーンは私が書いている。
その時は「陰陽念流の剣士」で出てきたばかりで、未来次元なので現代キャラの誰とも会っておらず、それでいてあずさがふうま君を攫ってセックスするという謎の展開だった。
私は個人的には二人の関係性から生まれるエロスが書きたいのだが、ここで下手にあずさとふうま君との関係を書くと後でやっかいなことになりそうな気がしたので、凜子を通しての知り合いくらいに描写を抑えている。*2
とはいえ、そういう初登場キャラになんとなく逆レイプされてるだけでは面白くない。なにかエロシーンに変化をつけたかった。
幸い、あずさは機械生命体なので子宮が透けるという展開になっていたので、その機械生命体ならではという部分を強調することにして、人間よりはるかに強い機械生命体の身体でセックスしてみたら、なんか人間の時よりエロ的な弱点が増えていたことが判明、でも感じちゃうアヒィという展開にしてみた。

エロシーンを書いていて、ニュアンスを大幅に変えたい時、こういった手を即興で思いつくことがある。
他の例で言うと、【6月の花嫁】井河アサギがそうだ。
新婚ごっこのつもりでセックス。最初はそれでいいとして、途中でもっとダイナミックに変化をつけたくなったので、ふうま君がいきなり本気で求婚して、アサギが本気で焦り出し、最後はみっともなく乱れるという展開にしてみた。
ちょうどアサギの立ち絵のエロ差分がそういう切羽詰った表情をしていたので、 「わたし本気にするわよっっ!! 後で冗談だったなんて言わせないわよっ!」のあたりのセリフはさくさく出てきて楽しかった。
その後に実装された【10月10日】井河アサギでの妊婦エロは担当していないが、もしその続きがあるとしたら、出産したらアソコの具合がちょっと悪くなってしまって、ふうま君に捨てられたくない一心で、ますますみっともなく頑張り喘ぐ展開とかが個人的な好みではある。

凜子のことに話を戻そう。
最終的にあずさは倒す。その前の玄庵による神眼の試練をどうするかは悩みどころだった。
大方の人が予想したとおり、玄庵の語った神獣を殺す云々は大嘘で、実際は玄庵の命を奪うという試練だった。さてそれにどう決着をつけるか。
今回のような展開の他に、例えば
1.気づかないで殺してしまい、後で真実を知る
2.気づいて殺せないが、相手が攻撃を止めないのでやむを得ず殺す
3.気づいたし、相手も攻撃を止めないが殺さない、そのことで逆に新たな力に目覚めた、あるいは試練に合格する
といった展開が考えられる。
少年マンガの定番はやはり3で、『幽遊白書』で幽助が幻海から霊光玉を受け取るエピソードが代表例だ。1のうっかり殺してしまうパターンも主人公ではあまり見られないが、『北斗の拳』のサウザーのようにライバルキャラにはよくある。それが暴挙の原因となるわけだ。2は『スプリガン』の優がよくそんなことになっていた。
凜子の場合も、最初は3のパターンでギリギリで剣を止めるという流れにしていた。勝負には勝ったが、相手の命は奪わないという結末だ。正直ありがちだ。
それに考えてみれば、これまで対魔忍RPGではお気楽そうなエピソードでもバンバン人が死ぬし、ふうま君たちも躊躇いなく相手を殺している。鹿之助や蛇子もそうだ。
嫌な言い方だが、敵がユニットで実装されるキャラでもなければ誰も不殺とか言い出さないし、殺したことに悩んだりしていない。
それぞれの内心はともかく現在までの描写ではそうなっている。俺が殺した相手がどうこうと言ってるのは骸佐くらいだ。
そんな世界観の話で今更、不殺だの活人剣だの言い出すのは白々しい気がした。
大体、凜子はすでに村雲源之助という兄弟子を斬っている。これからあず姉を斬ることも決まっている。
結局、凜子には対魔忍最強剣士としてより厳しい道を歩んでもらうため、はっきり相手が玄庵だと気付き、目覚めた神眼でその命が短いことや想いを知り、だからこそ誠意を込めて本気で斬るという展開になった。
このあたり個人的には『首斬り朝』なんかの影響が大きいように思う。主人公の朝右衛門は第一話で名を受け継ぐために実の父親を斬り*3、その後の最初の首斬りで初体験の相手を斬っている。

そんな過酷な剣の道を歩む凜子ではあるが、エロシーンでは相変わらずのことになっている。
【神眼逸刀流】秋山凜子は、 【水着】秋山凜子でやったAV女優デビューの続きだ。
それをはっきり示すため、試し切りが終わった後の
「私の名は秋山凜子。対魔忍だ。そして今は新人AV女優でもある」
という心の声から始まっている。
この一連のモノローグ、色々とおかしいことを言ってるのだが、北板利亜さんはとても凜子らしい真面目な口調で演じてくれたので嬉しい。イメージ通りだ。
続くエロ本編は、前回の【水着】秋山凜子を担当していないので、その内容を踏まえつつ、AV女優として良くも悪くも成長してしまった凜子の変化などを意識して書いている。
所々で嫌がりつつも、AV撮影にやたらと前向きで、これはAV女優に相応しい、これは相応しくないと反省したりするのがそれだ。
「自分からAV女優になると言いだしたのだから、それをしっかり務めるのが人としての誠意」と考えているからだ。凜子はそういう一本気な対魔忍剣士なのだ。
この先、AV女優として凜子がどう成長していくのかは分からないし、このシリーズが続くかも分からないが、個人的にはどこかでAV女優引退ファイナルアクメみたいな形で区切りをつけてあげたい気がしている。
なお、「見える! 見えるぞ! 私にもチンポの未来が見える!」みたいなセリフがないのは、神眼の設定が固まるだいぶ前に書いたからだ。それこそ神眼でもないと無理だ。
同じ理由で、新しい対魔忍スーツがどういう経緯で手に入るか分からなかったので、いずれ書く本編と齟齬が出ないように、AV用対魔忍スーツを別に作ってもらったということにしてみた。
おかげで本編と合わせると、幻庵の力で変身した新しいスーツのデザインを予め凜子がAVスタッフに渡していたということになってしまった。困ったもんだ。

最後は余談だ。
これまで凜子とゆきかぜは本編ではあまり組んでこなかったが*4、一連のあずさ話ではゆきかぜも逸刀流の新人ということでよく一緒にいる。
その際、ゆきかぜにはふうま君たちと行動している時よりも、少しはっちゃけた行動をさせている。
米連の基地について早々に「たのもー」と言って門を吹っ飛ばそうとしたり、過去の追体験シーンで一人だけ他人事みたいなツッコミをしている場面がそれだ。
「凜子先輩がしっかりしてるから、私は少し羽を伸ばしてもいいかな」と思ってるせいだが、本編補正でそうなっているだけで、本当は凜子と一緒にいる時こそ慎重にしないとやばいのは知っての通りだ。

*1:決戦前に凜子もそんなことを思っているが、これは彼女がふうま君をそう認識しているだけで、実際にその策略であずさを仕留められたかはどうかは定かではない

*2:結局、現代では会わないままだったが

*3:父親がそれを望み、陰腹もしている

*4:書いてないだけでペアとして任務をこなしているはず