昔読んだラノベたち

昼頃、実家からいきなり電話がある。
何か危急の事態でも起こったのかと心配したが、何のことはない「古い本を処分したいから、必要なものがあったら取りに来て欲しい」とのこと。
どんな本を残していったのか忘れていたが、勝手に捨てられるのはやはり嫌だったので、久しぶりに帰郷。といっても、歩いて行ける距離だが。
段ボールに3つ分ほどの本は、中学、高校時代くらいに集めたものだ。
ちょうどライトノベル黎明期にあたっていたようで、やたらと懐かしいタイトルが多い。
これは持って帰る、これは捨てると左右に分けつつ、ついついパラパラと読みふけってしまったのは、こんな本たち。


宇宙皇子  藤川桂介
血で血を洗う壬申の乱の最中、大きな悲劇を背負ってひとりの男の子が誕生した。父は戦死、あろうことか、その子の頭には“角”がはえていた。“鬼”“獣” と迫害を受け、母は身を投げ、その子は、霊力を持つ修験者の老婆のもとで育てられる。そして老婆は、“角”は宇宙と地上の生命の合体をあらわすといい、その子を“宇宙皇子”と命名した。人気アニメーター・いのまたむつみの絵とともに、華麗にそしてスリリングに繰り広げられる、感動の大型異次元歴史ロマン……だったのだが、何とか編、何とか編と10巻単位でゆっくりゆっくり話が進み、全部発売されるまでにこっちの趣向も変わってきたため、結局途中で挫折してしまった本。
いのまたむつみ氏の挿絵がその頃の時代を表していてまた懐かしい。
たしか、高校の面接で「最近読んだ本」を聞かれて、これを答えたことがある。痛い学生だな。
面接官がタイトルを知らなくて、あらすじを説明させられたような。今思えば変な面接だ。


●魔群惑星   渡邉由自著
主人公は人間と妖精のハーフの女の子で、理由は忘れたが世界の危機を救うために、妖精界にいる母親に会いに行く話だった。
挿絵は真鍋穣治氏。一昔前に流行った、表面が鱗で水着風の鎧が懐かしエロい。
エロいといえば、毎回毎回、鎧が脱げたり、触手風の化け物に襲われたりして、「イヤ、やめて、恥ずかしい」みたいなことになっていた。でも、寸止め。
当時はそんなのが多かったような気がする。


●聖刻の書   渡邊由自著
同じく、真鍋穣治氏が挿絵をやったシリーズ。
舞台は古代エジプトで、黒髪ロングのヒロインは好みだったのだが、実は後のクレオパトラという設定がいまいち乗れなかったのか、途中で挫折していた。
物語中でいくら頭脳明晰、清純って言われても、歴史上、弟と結婚したり、カエサルとやりまくったり、アントニウスに手を出したりしてるわけだしなあ。
それの伏線だったのかどうか、魔群惑星シリーズよりも、もっとエロくなっていたような記憶がある。


●クラッシャージョー   高千穂遙
未だに続いているシリーズなのがビックリだ。
当時、ちょうど映画化されていて、それで全巻そろえたはずだ。というわけで、映画をノベライズした「虹色の地獄」までで止まっている。
その後のシリーズも読んだような気がするのだが、立ち読みで済ませたのだろうか?
ともあれ、ヒロインのアルフィンは元お暇様でお転婆ツンデレ、しかも酒乱。
元祖という感じの良いキャラだ。
挿絵は当然、安彦良和氏。


●ハイスピードジェシー   斉藤英一朗著
主人公のジェシーは、反応速度と足が異常に早い突然変異の少年で、それが偶然手に入れた地球外文明の生体宇宙船パオロンと、そのパオロンが作った人工少女ティアナと共に、親を殺した宇宙海賊を捜しながら大活躍という、設定の海で溺れそうな話。でも、好きだった。
また、独自の観点から人を殺すことが教義であり、それが法的にも認められているハートランド教の神父フォークとか、そのフォークと恋仲になってしまう海賊の娘とか、魅力的なキャラも多かった。
挿絵は美樹本晴彦氏。


●ヴァレリア・ファイル   谷甲州
今読むと、その先見性に驚くしかない近未来SF。
主人公のMKは、ネットワーク上に残されたデータベースやシステムの鉱脈を掘り起こす「鉱脈探し(マイナー)」を生業にしているハッカー
偶然見つけたデータ「ヴァレリア・ファイル」がきっかけとなって、謎のサイボーグ美女ヴァレリアと出会い、MK以上のハッカー少女レティ(貧乳眼鏡ツンデレ)や、フリーの始末屋ジョーズなども巻き込んで、ネットワークと現実世界をまたにかけた事件に立ち向かっていく……という話。
当時は「テレホで接続」よりさらに前の時代で、そもそもパソコン*1すら持っていなかったので、ネットワーク上のデータにハッキングとか言われてもよく分からず、分からないなりに「なんか格好いいなあ」とか思っていた。
挿絵は幡池裕行氏。設定といいストーリーといい、もろに攻殻機動隊だったせいか、後に士郎正宗氏の絵で再版されたようだ。


眉村卓氏の角川文庫本
なぞの転校生」「天才はつくられる」「とらえられたスクールバス」「ねらわれた学園」「まぼろしのペンフレンド」「つくられた明日」「閉ざされた時間割」「白い不等式」「地球への遠い道」「地獄の才能」……等々、山のように残っていた。
ライトノベルよりもさらに古く、ジュブナイルなどと呼ばれていた頃の本だ。
やばい、懐かしすぎる。


そんな感じで、まあ色々持ってかえることになった。
夏頃に本棚を増設したばかりだが、もう足りなくなりそうな予感だ。

*1:という用語も無かったかも。マイコンピューターの略でマイコンという時代があった