エッチの前には、干瓢と魚の腸とコンニャクと、あと高野豆腐を忘れずに



先日、江戸時代の触手物の話を書いて、ふと似たような本を積んであったのを思い出した。



江戸の性愛術江戸の性愛術
渡辺 信一郎

新潮社 2006-05-24
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江戸時代の遊女屋の主人が、遊女のために書き残した「おさめかまいじょう」という性愛指南書についての解説本なのだが、日々の健康管理から始まって、男を籠絡する術、放縦な要求への対処法、健康のために自分はイカずに男だけイカせる方法、36種の交合体位など、図解入りで微に入り細にわたり説明してある。
ペニスをヴァギナに挿入する普通のプレイから始まって、おなじみのフェラチオ、パイズリ、69、アナルセックス、素股、3Pなどなど、江戸自体からそんなのあったのかと驚くことしきりだ。


エロゲ屋としては、道具を使ったプレイがとても参考になった。
そこで出てきたのが、干瓢と魚の腸とコンニャクと、あと高野豆腐。
と、並べただけでは、何をどうするのやら皆目検討がつかないであろう。
干瓢が特に気に入ったので、引用してみる。

干瓢を用いる秘法

(原文)まら立たせて、薄皮干瓢をまらに巻く。まらつけ首に一巻きし、まら腹に荒く巻き、まら頭に渡して、またつけ首に強く巻く。それより、まら腹に粗く巻いて、まら根本で縛る。唾付ければ、干瓢緊るなり。ぼぼにいれなば、けつ廻して抜き差しさせ、おやまはおめこ締めずして、けつ廻してしゃくるなり。その時、まら根本に縛りたる端を、引っ張るよにせば、まら首緊りて、おめこ締めたると同じなり。


(現代語訳)男根を勃起させて、薄皮の干瓢を男根に巻き付ける。雁首に一重に巻いて、男茎に粗く巻き、亀頭部に廻して、雁首に強く巻く。それから男茎に粗く巻いて、男根の根本で縛る。この干瓢に唾を付けると、干瓢が締まるものである。そのまま女陰に入れて、男に腰を動かさせて抜き差しをして、女郎は膣を締めずに腰を廻して、しゃくるようにする。その時に、男根の根本に縛ってある干瓢の端を引っ張るようにすると、雁首の箇所がしまって、ちょうど膣を締めたのと同じような効果がある。



たしか、LILITHの「ぼくの人妻お姉さん」で、テディベア好きの人妻が、赤いリボンでペニスの根本を縛り上げ、射精したくてもさせないようにして、少年を弄ぶというのを書いた記憶があるが、完全に縛らずに一方の端をフリーにしておいて、そこで縛りをコントロールするという発想はなかった。しかも、干瓢を使っているから先走りなり愛液なりで濡れると、ペニスはどんどん締まっていく。すごすぎる。


さらにすごいのは、これ男を気持ちよくさせるためだけではなく、遊女の健康を考えたテクニックだということ。
遊女は、日に何人もの男を相手にすることがあるため、毎回毎回、自分の膣を力ませていたら身が持たない。そこでこういうテクニックが存在するというわけ。


ちなみに、この干瓢巻きの前文には「ポチはずめば、つけ部屋めくばりに応えて、ぼぼ道具を使う可し」とある。
「ポチ」は祝儀。
客が祝儀をはずめば、自室で要求に応じて道具*1を使ってもいいよ、という意味だ。
金を多くせしめた上、手抜き――いや、膣抜きをして自分は疲れないようにする。遊女はすげえなあ。


しかし、やはり身を売る女。
道具がらみで、遊女の憐れさが滲み出るような歌がのっていたので、それを引用して本日の終わりとする。

「張り型が出て母親をまた泣かせ」


 病気のために宿下がりになった娘。薬石効なく遂に死去したのである。その遺品の中から「張り型」が出てきたのである。幸薄く、男との性の喜びを未経験のままに死んだ娘のことを思い、涙に暮れる母親である。

*1:客が持ち込んだ道具を使うのは御法度だった