立川志の輔独演会
今夜は誘われて、志の輔師匠の落語を聴きに行った。
いつも正月にPARCOでやっている「志の輔らくご」に今年は行けなかったから、志の輔師匠の落語を生で聴くのは久しぶりだ。
場所は、中野にある文化ホール。
そこは席数1200という、落語を聴くには少々大きすぎるホールで、とった席も残念なことに二階だったから、頑張ってよーく目をこらさないと、志の輔師匠の顔もよく見えない。
志の輔師匠自身、「高座なのに一番低い位置にいる」と笑いをとっていたが、遙か上から見下ろすのは確かに妙な感じだった。
前座は、立川メンソーレの「道具屋」
早口の言い回しが特徴らしいのだが、それが過ぎるのか、付けたマイクの加減がおかしいのか、声に妙なエコーがかかっていて、言ってることの半分も分からない。
「ずっとこの調子か? こりゃまいったなあ」と思ってるところに、志の輔師匠の噺が始った。
そうしたら、これが同じホールかと思うほどに良く聞こえる。
というより、ことさら聞こうしないでも、すーーっと耳に入ってくる。
さすがとしか言いようがない。
今夜の噺は、「千両みかん」と「へっつい幽霊」。
「千両みかん」は、ある大家の若旦那が、真夏にみかんが食べたいといって寝付いてしまった若旦那のために、番頭が炎天下の大阪中を探し回る噺。
「へっつい幽霊」は、道具屋にあるへっつい(竈)から出る幽霊と、その幽霊と博打を打つことになった長屋の熊さんの噺。
夏というにはちょっと早いが、暑い夜にはぴったりの噺だ。
どちらも有名なので知ってる人も多かっただろうが、ホールは大いに盛り上がっていた。
自分自身、「へっつい幽霊」は、志の輔師匠がやるのを聴いたこともあったのだが、それでも声を出して笑ってしまった。
絶妙の語りと身振り、そのリズムと間。
噺の筋を分かっていても、笑いの感情をいいように操られてしまう。
それがなんとも心地よい。