「志の輔らくご 牡丹灯篭 in 本多劇場」

久々の更新。
新作のシナリオで忙しい毎日ではあるが、今日は人に誘われて、下北沢の本多劇場立川志の輔師匠の牡丹灯篭を聞きに行った。
今年の正月はPARCOの「志の輔落語」に行けなかったから、去年の独演会以来、ほとんど一年ぶりだ。


落語の牡丹燈籠は、明治のころ三遊亭円朝が創作したものだそうで、その名の元になった牡丹灯籠を持った幽霊がカラン、コロンと下駄の音を響かせて現れるところ、「足のある幽霊が出た」と当時大評判だったらしい。
幽霊などというと怪談話のようであり、三遊亭円朝も「怪談牡丹燈籠」という速記本を出しているのだが、この怪談部分は全体のごく一部なのだそうだ。
実際はもっともっと長い噺で、三遊亭円朝も1日ずつ違った噺を30日もかけて全編をやったのだそうだ。どんだけ長いんだ。


その恐ろしく長い噺を一夜で楽しんでもらうために、志の輔師匠はステージを前半、後半の二部構成してくれた。
前半は、シャツにズボンというラフな格好で現れて、ガッテンのスタッフが作ったというでっかいボードを使いながら、20人ほどもいる登場人物(これでも絞れるだけ絞ったそうだ)の相関関係や事件のいきさつを説明。当然、面白おかしい。
志の輔師匠の話術に引き込まれ、一時間ほどがあっという間にすぎる。


10分の休憩を挟んだ後、ついに着物を纏った志の輔師匠が現れて、後半の落語がスタート。
足のある幽霊が出てくる怪談から始まって、悪徳商人の話、人情噺、仇討ちと、怒濤のように繋がり、絡み合う噺を、一時間半ほどぶっつづけで、存分に楽しむことができた。
運良く前から三番目の席だったので、志の輔師匠の表情一つ、指先の動き一つまで隅々まで見ることができたのも嬉しい。


唯一、残念だったのは、途中どこからか携帯の音が聞こえたこと。
しかも二回。しかもクライマックス。
馬鹿が二人もいたらしい。
終演後のロビーでは、出てくるみんなが口々にそのことを言っていた。当たり前である。
もうね、本当にそういう馬鹿は来ないで欲しいね。


【関連項目】
立川志の輔独演会