恩田陸『チョコレートコスモス』読了


 情熱のドラマ開演!


 舞台の上の、暗がりの向こう。
 そこには何かが隠されている。
 どこまで行けばいいのか?
 どこまで行けば分かるのか?


 あたしはあなたと同じところに行きたい。(オビより引用)


面白い。
知り合いに勧められて買ったまま、時間が無くて積んでおいた本だったが、ふと読み始めたら一気に全部読んでしまった。


演劇界の伝説のプロデューサーが長年の沈黙を破って、新作舞台を手がけることになるらしい。女二人が主役の芝居。物語はそんな噂から始まる。
その役を射止めるために絡んでくるのが色とりどりの女優達。
ベテラン「岩槻徳子」、実力派の二世女優「東響子」とそのライバル「宗像葉月」、アイドル出身で負けん気の強い「安積あおい」。そしてもう一人、演劇を始めたばかりだが、時として天才的なきらめきを放つ少女、佐々木飛鳥。

彼女たちが火花を散らすオーディションが中心になっていて、その劇中劇がとにかく引き込まれる。
オーディションだから当然、同じ題材なのに手を変え品を変え飽きさせない。次は? その次は?ってページをめくってしまう。
何より女優によって、題材の解釈が変わり、演技を変わり、まるで別の芝居になっていく過程がたまらない。
今この瞬間、舞台の上で物語が作られていく感じ、芝居ならではの面白さがグイグイ伝わってきた。

芝居好きな人、「ガラスの仮面」好きな人はたまらない本だ。


最近、芝居行ってないな。