選ばれなかった女との別れのシーン

クライマックス中のクライマックスの直前。
ヒロインとの修羅場の原因ともなった、もう一人の女の子との別れのシーンを書く。
妙に筆が乗ってしまって、自分でも「良い子だよなあ、この子」と思えるような別れのシーンになってしまった。
一つの恋が、男と女、両方とも良い想い出と共に終わる。
現実にはそんなことあるわけない。ええ、ありませんよ、そんな経験。
だからこそ、良い別れのシーンを書きたいものだ。せめてお話の中では。


そんなシーンといえば、碧ヶ淵である。
碧ヶ淵は、せりと梓、そしてアンリという三人の女の子を抱き比べて、一番好きな娘を決めるという、いかにもエロゲー的な話であるが、エンディングの前に主人公に選ばれなかった女の子二人と話すシーンがある。
せりを選んだ時は、梓とアンリ。
梓を選んだ時は、せりとアンリ。
アンリを選んだ時は、せりと梓。
その3パターン。


時には、「私たちを捨てたあなたがそんな顔してどうするんですか!」と、怒鳴られたり、
時には、「絶対幸せにならないと許さないから」と、悔しい気持ちをぶつけられたり、
時には、「二人でわんわん泣いちゃった」と、まっ赤な目で言われたり、
時には、「お嫁さんにはなれなかったけど、また夜這いに行くからね」と、からっと言われたり、
それぞれの個性に合わせて、選ばれなかった子たちが敗北宣言をする。


いかにもエロゲー的な話の中にも、主人公、すなわちユーザに「こんな良い子たちを捨てて、あの一人を選んだんだ」という切なさを味わってもらいたかった。
もともとプロットになかった部分であり、シナリオとして勝手に書いたのだが、完成品でもそのまま通っていた。
メーカーの担当さんには本当に感謝している。


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