対魔忍RPG 「雷撃の対魔忍」イベント 制作雑感(改)

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対魔忍RPGもようやく1周年。めでたい。
 

このブログ、書くことがなくて半年ほど放置していたが、復刻イベントで「雷撃の対魔忍」が始まったので、そのときのことについて前にもちょこっと書いたが、それをさらに詳しくする形で、あれやこれや思い返してみる。

 

「対魔忍ユキカゼ」の主役、水城ゆきかぜが登場するこのイベント。
復刻イベントとしては、アサギの「期末テストと最強の対魔忍」、若いさくらの「忍びの宿命って奴か」に続いて三つ目となるが、元々は対魔忍RPGで最初に行われたイベントだった。

 

作ったのはかなり古くて、2018年の始めくらい。
自分は、その1年ほど前にエロシーンばかり40個ほど一気に仕上げたきり、対魔忍RPGの仕事から離れていたので、設定やらなにやらすっかり忘れていて、というか、参加していない1年の間に色々と更新されていたので、一から資料を見直すこととなった。

 

とはいえ、当時はメインクエストがいくつか完成していたくらいで、まだまだ手探りの状態だった。
メインクエストと同じセッションが5つ、バトルが5回ある構成で、ラスボスが報酬のゆきかぜという以外、内容はお任せだった。
ただし、メインクエストを3章までプレイしている状態という条件が付いていた。

 

そこで、それまでに主人公とゆきかぜとの間にどんな接触があったか調べてみると、メインクエストでは1回しか会っていない。
今、実際にプレイするとチュートリアルに出てくるのだが、当時はそのシナリオもなかった。

 

そのたった一回の出会いでは、ゆきかぜはいきなり現れて、勝手なことを喋りまくってすぐ去っていく。クエストにも関係なく、別に出なくてもいい初登場だ。
ゲームのユキカゼや決戦アリーナをプレイしていたユーザーならともかく、それだけ見ると単に口うるさくて生意気な女という印象だ。
実際、主人公もそんな風に考えているようで、こちらは落ちこぼれ対魔忍、あちらは次世代のエリートと、あまり仲もよくなかったようだ。


そんなわけで、ゆきかぜをまだ知らない人向けに、イベントを通して基本的なキャラクターを紹介しつつ、主人公との仲をちょっと進めるというテーマで話を作ることにした。

その場合、アサギ先生にいきなり任務で組めと言われ、最初は喧嘩していたものの、任務を通して仲良くなるという展開がセオリーだ。
実際、後にきらら先輩を始めとして、そういったイベントが多く作られることになる。
しかし、なにしろメインクエストが3章までしか進んでいない状態だ。
下手にゆきかぜと一緒に新しい場所に行ったり、知らない人に会ったりすると、この先どうなるか分からないメインクエストと矛盾が出そうで怖い。
そこで、キャラにしろ背景にしろ、3章までに出てきた素材だけを使い回すことに決めた。

 

そこで思いついたのが、「対魔忍学校での普通の一日」という話だ。

背景を使い回しても不自然ではないし、ゆきかぜとちょっと仲がよくなるくらいの展開も作りやすい。

なにより、対魔忍学校を舞台にしているわりには、普通に学生をやっている話を書いたことがなかったので、その点でも面白そうだった。

 

要は学園物だ。
オープニングもそれにふさわしく「ちこくちこく~~~」で、ゆきかぜとぶつかるお約束のシーンから始めている。
悪態を吐くゆきかぜに対する主人公のセリフも完全にメタネタだ。

 

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ゲームなら、ひっくり返ってスカートがめくれて、そこに頭を突っ込んで最初のイベント絵、「この変態!」と電撃を食らって出会いの印象は最悪―――というあたりまでが様式美だろう。
まあ、イベント絵もないので、ここはガチャガチャ言い争うだけにして、遅刻のチャイムが聞こえたので慌てて校門に行くと、すでに生徒会の門番が立っているという展開になる。

 

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番役は、対魔忍新兵と対魔忍斥候。
どう見ても絵面がおかしいが、他に適当な素材がなかったのでしょうがない。
もっとも、ゆきかぜも朝から対魔忍スーツで、そこで合流した蛇子と鹿之助もそうなので、統一が取れているといえば取れている。

 

主人公は門番の目を盗んで入ろうとするが、ゆきかぜが正面突破を計り、なしくずしにバトルになる。
記憶消去と称して、気絶した門番の頭に電撃を食らわすあたり、頭は良いのにやることは力尽くのゆきかぜらしい。

これ相当やりたかったらしく、一番最初のメモの段階から書いていた。

 

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また、主人公より明らかに強いゆきかぜをラスボスにしなければならなかったので、イベントの都合で必要な5回のバトルを通して、彼女が主人公の指揮能力を認めて、自分でもちょっと戦ってみたいと思うようになるまで、ここから少しずつ描写を入れるようにしている。

最初は、いつものように蛇子や鹿之助を指揮していた主人公にゆきかぜはまったく気づいておらず、「戦うふりくらいしたら?」と普通に馬鹿にしている。

 

 

 さて、学校に着くと、クラスが再編成されていて、主人公、ゆきかぜ、蛇子、鹿之助が都合よく同じクラスになっている。
それ以前どうだったのか、設定では決まっていなかったので、学園物をやりやすいようにリセットしたわけだ。


担任はさくら先生。これにも理由はある。
この時点で使い回せそうな先生キャラは、アサギ、さくら、紫の三人。
設定上、静流も先生なのだが、次のメインクエストの4章で主人公が顔を知らないという展開が分かっていたので出せない。
アサギは校長なので、担任をやれそうなのはさくらか紫だ。
二択でさくらを選んだのは、遅刻騒動の罰として戦う相手に、忍蛇と忍熊を出したかったからだ。
さくらが世話しているという設定だったし、メインクエストの第3章で出てきているので使い回せる。素材が少ないので実にありがたい。

 

このバトルで、ゆきかぜは主人公が遊んでいたわけではなく、他の二人を指揮していたことに気づく。
ここ、主人公の指揮能力について、蛇子と鹿之助に褒めさせているのがミソだ。

 

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主人公が自分で「俺は指揮には自信がある」などと言うと、ゆきかぜの性格からして間違いなくいっそう馬鹿にする。展開上、それでは困る。
キャラの長所は他の人に言わせるとちょっとだけ説得力が増す。本人がいないときの方がいいのだが、この場合はしょうがない。

 


次は、地下訓練施設での授業だ。
いかにも対魔忍の学生らしいイベントだが、学校でバトルを起こす理由にだんだん困ってきたのと、敵素材の使い回しのためという理由の方が大きい。
今まで出てきた敵のうち、食屍鬼グールや魔術師といった、いかにもモンスターじみた連中を使いたいのだが、いくら対魔忍学校とはいえ、そんなものが現れたら一大事だ。
骸佐が送り込んだとか理由はいくらでも作れたが、そうすると日常話から離れてしまう。
そこで、戦闘シミュレーション装置の登場だ。
これなら脈絡なくどんな敵が出てこようが、学校以外のどんな場所を出そうが問題ない。
戦う理由も訓練だからだ。
実にナイスな設定だ。

暴れてよく物を壊すゆきかぜの描写で、テストプレイで電子機器をぶっ壊したという話を入れている。傍迷惑なヒロインだ。

 

このバトルで、ゆきかぜは主人公の指揮能力を認めることになるわけだが、そもそも主人公がやりたがるはずがなく、ゆきかぜも素直に聞くわけがないので、授業でさくら先生に指示されたからという、無理やりな流れにできたのもありがたかった。
しかし、ちゃんと褒めているわりに、結局はこんなことを言う。

 

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セッションの4つめは、ふうまの身内に絡まれるという話だ。
これも1章の反乱で出てきた、ふうま火遁衆を使い回したいという理由がまずあったからだが、骸佐の配下とかにするとまたややこしくなるので、その反乱に加わらなかった連中が主人公を逆恨みしているという展開になっている。

この回のみ、ゆきかぜはバトルに加わらずに傍観している。

 

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最初のアイデアでは、主人公が残されたふうまたちの気持ちの捌け口になってやるために、当主として自分から殴られようとしているところを、ゆきかぜが勝手に義憤を感じて助太刀するというのを考えていた。

 

ただ、この次のセッションで、どうやってラスボスをゆきかぜにするか悩んでもいた。

この時点で、ゆきかぜは主人公を認め始めているので、いくらイベント上の都合とはいえ、いきなり最後でまた喧嘩して戦ったりするのは不自然すぎる。

さて、どうしようかとあれこれ考えて、ここと同じ「気持ちの捌け口」というキーワードで、骸佐の反乱がらみで主人公に恨みをもつ女を出し、ゆきかぜが彼女たちに助太刀するという展開を考えついた。

そこで、さっき自分をうまく指揮した主人公の戦いぶりをここで外から見ていて、「ちょっとふうまと戦ってみたい」と、ゆきかぜの側からもバトルを望ませるようにした次第だ。

もっとも、主人公にとっては迷惑なだけだが。

 

 

そして、ラストはゆきかぜとのバトル。

ふうまに恨みを持つ女たちを連れてきて、お互いにドロドロした気持ちを溜め込まないために、とりあえず本気でやり合おうという提案をする。

ゆきかぜらしい力尽くの発想で、セリフはすらすらと出てきたが、頼まれもしないのに主人公と女たちを仲裁しようとするあたり、こいつ意外と人の気持ちを考えているのだなと、自分で書いていてちょっと驚いた。


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そしてオチだ。

勝ったと思ったゆきかぜが実は全力ではなく、その証拠にデカい雷を一発ぶちかまし、みんなが呆然としているところに凜子先輩が現れて、ゆきかぜがスタコラ逃げていくという、まあよくあるシーンだ。

セッション4と5の、主人公に恨みを抱いている生徒というのが少し重かったので、それを和らげる意味もあった。 

 

ところで、そういった骸佐の反乱による犠牲者の話は、ちゃんとやろうとするとどんどん深刻になっていく。

そのためか、ローンチから1年立った今でもあまり語られていない。
当時は、反乱直後の話だし、そういう連中もいないと不自然と思って出していたが、今になってみると、学園での日常話ということも含め、この「雷撃の対魔忍」、ちょっと他とは毛色の違ったストーリーになったと感じている。

 

最後に、このイベントで手に入る「SR/【雷撃の対魔忍】水城ゆきかぜ」は、味方全体のATKとDEFとSPDがまとめて60%アップするという大変使えるキャラだ。

もし興味をもってもらえたら、この機会にプレイしてもらえると嬉しい。

 

ではまた。