『部屋と下着』 宮下マキ著


部屋と下着部屋と下着
宮下 マキ

小学館 2000-05
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女の子が自分の部屋で、下着だけの姿でいるところを撮った写真集。
全然エロくない。
いや、エロくないというのは違うな。
男の下半身を直撃するようなエロさではなく、だら〜〜んとした自然体のエロさだ。
たとえるなら、お互いにすっかり馴染んだ女とのセックスが終わった後、女が裸のままベッドから出て行って、まだ濡れた股間を隠すでも恥ずかしそうにするでもなく、冷蔵庫から麦茶を出して飲んでいる。男もそれを当たり前に見ている。そんな感じ。


総勢70人の女の子は、モデルでも何でもないごく普通の子で、寝転がって雑誌を読んでいたり、床にひっくり返ってストレッチをしていたり、飼いネコとじゃれ合っていたりと、当たり前の日常を過ごしている。
誰に気兼ねすることもなく、ごく自然に。自分が一番落ち着ける部屋で。
だから部屋も、脱いだ服が散らかっていたり、飲みかけのコーヒーが置いてあったり、ビデオが出しっぱなしにになっていたりと、リアルな生活感に溢れている。
生活感どころか、明らかに汚い、「お前少しは掃除しろ」という部屋もあるが、それも彼女の自然体だ。


写真ごとに、その子の年齢、職業、部屋と下着へのこだわり、生活スタイルや人間関係などのプロフィールが事細かに書いてあるのも、この写真集の特徴だ。
一人一人が、どんなことを考えて、あるいは考えないで、その日の下着を選び、自分の部屋を形作っているのか、なかなかに楽しい。
下着については、こんなコメントが面白かった。

R・N 大阪府 学生 20歳
きれいな下着は自分のために、かわいい下着は恋人のために身につける。好きな下着をつけるとしぐさも変わる。下着を選ぶのは宝石を選ぶような気持ち。


M・Y 京都府 ディスプレイ 21歳
私の密かな楽しみである。例えば、赤い下着を着けていても誰もわからないが、なんだか自分だけ知っているのでちょっと「へっへっ」と思ったりする時がある。


A・T 京都府 学生 19歳
わたしの下着は全部一人暮らしを不憫に思ってか、月に一度とれたてのお野菜と共に母が送ってくれたもの。卒業する頃には50着くらいに増えてしまったが、どれも捨てられない思い出深い品ばかり。故郷が恋しくて、添えられた両親の手紙を読みながらパンツで涙を拭いたことも。